収入 年21億円 返済 年56億円 資金不足 最大200億円超

リンク 情報開示資料の要点
    資金収支・経常利益 試算

「大田区の新空港線(蒲蒲線)計画を考える会」は都と区に情報開示を求めました。示されたのは「2021年度 新空港線都調査結果まとめ」。
資金収支と経常利益を計算してわかったことは三つ。
①毎年35億円以上の資金不足になる。
②すぐに200億円以上の資金手当が必要になる。
③区の説明「累積資金収支黒字転換年」17年は無理。 多くの区民が心配するとおり、不便なうえに財政リスクを抱え込むことになります。

どうする資金手当て
資金赤字200億円超 経常赤字の可能性も

「新空港線計画を考える会」が都・区の開示資料にもとづき、借入返済をより精密に計算し作成したのが下表の資金収支計算書です。
わかりやすく、別表の「開業10年間の累積資金収支」と10年間平均の「経常利益計(年平均)」にまとめてみました。
新空港線を開業するとすぐに資金収支が赤字になり、最大200億円超の資金手当てが必要になります。新たな借り入れ、社債発行、増資、補助金などに追われ続けるのではないでしょうか。

●誰にでも資金収支が赤字だとわかります
いっしょに、収入支出の計算をしてみましょう。

簡単のため億円単位にします。借入金は370億円とします。
①まず、年の事業収入は20.9億円。
②次に借入返済は一年当たりで
返済元金は、借入金370億円で10年返済なので10で割ると、37億円。
③利息は、年平均3億――下の(注)を見てください
④人件費・経費は 0.5億
以上より、一年の収入と支出(資金収支)
= ①-②-③-④
= マイナス19.6億円

(注)最初の年の利息は借入金370億円×1.654%=約6億円。10年間で完済するので、年平均の利息は、だいたい半分の3億円と見れば大丈夫。参考までに、元利均等払いで計算した利息の年平均は4億円になります。

・事業費 1362億円
・資金調達
国と自治体の補助金 908億円
三セク会社の資本金 91億円
借入金 3年据え置き含め10年返済 年利1.654%
(借入金額は明示されていないが、最低必要額363億円となる)
・経営計画
事業収入 年20億8800万円/年(東急電鉄の施設使用料)
人件費・経費 5100万円/年×10年
資金収支黒字転換 単年度9年目、累積17年目

開業10年間の累積資金収支 

事業収入    209億
人件費・経費    5億
支払利息     40億
借入返済    370億
累積資金収支 △206億円

経 常 利 益(年平均)

事業収入  20.9億円
経費     0.5億
利息     4  億
減価償却費 22.7億
経常利益  △6.3億円

注1 利息と借入返済は3年据え置き後の7年間の元利均等返済で計算。
注2 経常利益は開業後10年間の1年当たり平均額。
注3 減価償却費は鉄道施設の耐用年数20年として計算。 同50年だと経常利益は+7.3億円になる。